発達に合わせた言葉がけとは?

ことばの発達はお母さんも気になるところ。
どうすれば順調に言葉を覚えてくれるのか、頭を悩ませているお母さんも多いと思います。
そこで、赤ちゃんにどのように言葉がけをするのが良いのか、調べてみました。

基本ポイント4つ

1.  赤ちゃんの気持ちに寄り添う

言葉は単なる命令や意思表示の手段ではありません。コミュニケーションの手段です。そしてコミュニケーションは言葉だけで成立するものではありません。
著名な言語学者レイ・L・バードウィステル曰く、他人から受け取る情報のうち実に6~9割が非言語的要素だそうです。
まずは赤ちゃんと共感すること。そして赤ちゃんの心の内を、少しずつ言葉にしてフィードバックしていく。これがことばを育てる対応の第一歩です。

 

2.  ゆっくり、わかりやすく、間を取って

できるだけ理解しやすく、覚えるときに間違えないようにしてあげてください。単語が上手く聞き取れなかったり、早すぎて何だか良く分からなかったりすると、それがストレスになって言葉に対し不信感を抱くようになります。

 

3.  言葉を覚えさせようとしない

知らず知らずにやってしまう「これなあに?」「あれはなんていうんだっけ?」等の「質問」。実は会話ではなく、答えを述べさせる「命令」なんだとか

確かにこどもはテストするようなこの会話を非常に嫌います。こどもの関心とは無関係な事が多く、楽しくないから。モチベーションはダダ下がりです。気をつけましょう。
とはいえ、「テベリ見る~」「そうね、テレビ見ようね」とヤンワリ訂正したり、「この中でどれが好き?」「クマちゃんに何着せようか?」等、こどもの想像力を促すような語りかけはOKというから、なかなか難しいものです。。。

 

3.  いわゆる「こそあどことば」を使わない

曖昧な表現は赤ちゃんを困惑させます。ことばが未発達ゆえに「モノ」と「ことば」の対応関係をしっかりと示してあげることで、必要な語彙を獲得していきます。

年齢と言葉かけの態様

そこで、おおまかな目安になればと思い、表を作成してみました。
便宜上月齢でに区切ってはありますが、発達には大きく個人差があります。
また、ざっと見て頂ければ分かりますが基本的な対応は3歳まで変わりません。
むしろ、基本ポイント4つをどのように実施するのかの参考程度に見て頂くのが良いのかな、と個人的には思います。

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0~3ヶ月はまだ言葉は話せませんので、自分が発した声や表情で反応が返ってくるという「やりとり」の基礎を覚えている時ですよね。
実況中継についても特に内容などは気にせずに、お母さんの声が聞こえることの心地よさが感じられれば充分です。

この時期に母国語のリズムや拍を身に付けているのではないかと言われています。

 4〜6ヶ月になると「ブブブ」とか「ダアダア」など喃語を話し出します。擬音語や擬態語で真似しやすい言葉で話しかけるのと同時に、言葉に意味があることに気付き始める時期と言われていますので、ものの名前を言葉にするとよりそれが促進されるのでしょうね。

7〜9ヶ月は物事だけでなく感情にも名前がある事に気付き始めます。だからこのときの言葉がけは感情を言葉にして返すフィードバックが基本なんですね。記憶力もグッと上がる時期ですので、物事の名前を覚えはじめるには良い時期だと思います。

10~12ヶ月の「一語文」は「赤ちゃんが理解できるであろう言葉」です。なので例にあるように分かりやすいことば1語+もう1語で話しかけることで、徐々に「文」に慣れていきます。

この時期重要なのは共同注意。指差しなどで同じ対象について意識を共有できるようになると、モノの名前や意味の理解もグンと良くなります。

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1歳~1歳3ヶ月では、赤ちゃんの発語はまだ不安定。でも、ここでは言葉とともにやりとりすることを練習しています。状況などから想像して動作や言葉を返してあげましょう。お母さんの反応から言葉の間合いや使い方を知ることができます。

 

1歳4ヶ月~1歳7ヶ月では、まだ発語は少ないですが、実は大人の言葉を相当理解できるようになっているそうです。なので一つの物事から派生して周辺的な言葉を投げかけてあげると語彙の増加に繋がりやすい時期と言われています。

 

1歳8ヶ月〜2歳は発語が増えはじめ、話したい気持ちが高まっている頃です。それでも語彙力が足りず、上手く文にならないことが多いでしょう。そんなときにイライラしないよう、大人が上手く汲み取って伝わったことを示してあげると、嬉しいですしヤル気も湧きます。

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2歳くらいになると現在・過去・未来のいわゆる「時制」が理解できるようになってきます。
また感情の分化が進み、色んな気持ちが心の中に表れだす頃です。表情などから適切に汲み取り、感情とそれを表す言葉に気付かせてあげてください。

 

3歳からの「質問の嵐」は言葉を覚えたい!という欲求の表れです。ここで丁寧に対応できたかどうかで、こどもの語彙力とその先の学習意欲に影響しますので、面倒臭がらずに応えてあげて欲しいところです。 

考えすぎる程のことではない

 ざっと3歳までの言葉がけを見てきましたが、意外と普通にできている人がほとんどな気がしますね。

表まで作っといてなんですが、時折「表ではこの時期、どんなだっけ?」と確認する程度で良いと思います。

 

おすすめ参考文献:
中川信子「こどもの発達に合わせたお母さんの語りかけ」PHP研究所