【他人なんて】乳幼児は自己中心的【お構いなし】

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3歳までの子どもは自己中心的な時期。残念ながら人の気持ちなんてよくわかりません。自分のやりたいと思うことをやり、お母さんがこうして欲しい、と思うことを察して動くことはまずありません。


「うちのこに限っては」と思い気持ちも分かりますが、残念ながらそれは幻想、あるいは勘違いです。 

 

お利口さんなんて、居ない!?

しかし、なにも子どもが悪いわけではありません。こどもたちはお母さんのことが大好きですし、1歳半を過ぎる頃には、出来ることは自分でしたいと思っています。ただ単に未発達で上手く立ち回れないだけです。

 

時期が来れば、ある程度物事を論理立てて理解できるようになりますし、人の気持ちも考えられるようになります。

 

でも少なくとも3歳くらいまでは、自分の気持ちが勝ってしまい、それがワガママでダダをこねているだけに見えてしまいます。

 

ですので叱ったり、言葉や態度で理解させようとしても到底無理な話なのですが、なんとかこれをやろうとして、結局疲れてしまうお母さんも多いです。

 

時々、お母さんに虐待や過干渉の傾向があると大人の反応を伺うような態度をとることがありますが、これは気持ちを理解しているのではありません。怯えて必死に情報をかき集めているだけです。


この時期、自分を取り巻く世界を知ろうと頑張っているこどもたち。そういう意味では、みんな「お利口さん」なんです。

勘違いはこどもの「生存本能」から

例えば、新生児〜3ヶ月の赤ちゃんでも、人の顔をじっと見たり、表情を真似たり、自分から笑いかけてきたりと、積極的にコンタクトをとってくるので、つい気持ちが通じ合っているような気になります。

でもこれは、生命を確保するためにどんな子も持っている本能なんです。


人間の子どもは他の進化した哺乳動物と違って、生まれてすぐ立つことも歩くこともできません。このことを乳幼児期の「生理的早産」とよんだりしますが、人の子は生まれたては未成熟で生存能力がとても低いのです。


なので、誰かの手を借りないと成長することができないため、可愛い見た目や人懐っこい(と回りに思わせる)仕草や表情をしていると考えられています。

共感しているようだけど

実は共感する能力は、生まれてすぐに発達し始めます。

 

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 3ヶ月ぐらいになると、泣いている子を見て自分も泣いてしまったり、悲しくてお母さんの胸に顔を埋めたりします。これをみて「他人の気持ちが分かるのね」と我が子の優しさに感動してしまうわけですが、これもちょっと違います。

 

この時のこどもは「あの子の悲しみ」を想って胸を痛めている、わけではありません。自分自身が「悲しい」のです。「その子」という存在すら認識しているかどうか不明です。


これを「情動伝染」や「共感的苦痛」と呼んだりしますが、危機的な状況をまわりの情報から感知する一つの本能であるといわれています。


もちろん、そこから他人の存在を認識し、他人の立場から考えられるようになると人のために行動ができるようになっていきます。でもそれは4歳頃からのはなしです。

じゃあ、どうすればいいの?

この時期のこどもの特性を上手く利用することです。
こどもの自己中心性には、3つの特徴があります。
それは、

  • 空想と実在の区別がつかないこと(実念論)
  • 非生物にも人間のような思考や感情があると思い込む(アニミズム)
  • 自然物も人間が作ったと思い込む(人工論)

です。


「実念論」が難しいかも知れませんが、ようは「自分の視点や考え方が世界の全て」という観念のことです。空想したことを見てきたように話すのもこれです。嘘をついているわけではありません。彼らの中では「真実」なんです。


なので、月も星も海も全部誰かが想像して作ったものだと思い込みますし(人工論)、空想さえすれば花も言葉を話すわけです(アニミズム)。

 この世界を安易に否定されば当然ブチ切れますし、認めて貰えるとその人に親しみを覚えます。

 

なので、もしこどもに直して欲しいことや伝えるべきことがある時に、以上の3つを念頭に接してあげると受け入れてくれることも多くなります。

たとえば、公園の花を折ったような場合、

母:「お花、ポキッしたの?」
子:「うん」
母:「お花、ポキッしたら痛いかな?」
子:「いたい」(※アニミズム)
母:「痛いことする子を、○○○マン(その子の好きなヒーロー)やったらどうするかな?」
子:「やっつける」(※実念論)
母:「まーくんもやっつけられると?」
子:「いやだ」
母:「そしたらもうお花おったらいかんよね」
子:「うん」

実際はもっとくだけたやりとりですが(笑)。
この時、大人が○○○マンの存在や、花が痛い、ということを信じ切って演じることが重要です。同じ空想世界を共有していることをアピールしましょう。
こんな感じで3つの特徴を複合的に使うと、より印象に残るのか効果的です(勿論、直らない子もいますが)。

 その時が来るのを、ひたすら待つ!

(今日の絵本 ※絵本ナビに飛びます)

もちろん、徐々にお母さんへの愛情と信頼関係が構築されていくわけですが、大人でも、特に思春期なんかは愛情を抱くのと相手のことを慮(おもんばか)れるようになる時期にはズレがありますよね。ましてやこども。まだまだお母さんに思いを伝えることで精一杯。
なので、あまり過度な期待はせず、またこうあるべき、といった希望的観測も捨て、ある意味「無我の境地」で見守ることが、じつはお母さんにとっても一番精神的に楽なんじゃないかなあ、と思ったりします。