秋・冬にかかりやすい感染症(乳幼児)

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秋口から春先までに流行する感染症をまとめてみました。
この時期は比較的重症化する感染症が多いので、夏に引き続き注意が必要です。
保育園では、一旦流行すると、その対応にてんやわんや…、なんてこともありますので、事前に予防法や発症後の対策について確認しておくと良いでしょう。

 

RSウイルス感染症

<どんな病気?>
RSウイルスの感染による呼吸器感染症。非常に感染力が強い。

一度感染しただけでは免疫はつかず、生涯にわたって何度もかかる病気です。

<年齢>
年齢問わず
乳幼児の場合は重症化しやすい

<症状>
発熱、鼻水、呼吸が苦しくなる。
25-40%の乳幼児で細気管支炎や肺炎の徴候があらわれます。
近年、乳幼児の突然死の原因の一部であることが明らかになっています。

<感染経路>
飛沫感染と接触感染。手指やオモチャなどの物品を介して感染します。

<予防法>
ワクチンはありません。
手洗いやマスク、オモチャの消毒などが有効ですが、予防自体が難しい病気です。
保育園で流行の兆しが見えた場合、1歳児以下は隔離することが望ましいでしょう。

<治療法>
対処療法になります。
1~2週間で徐々に回復しますが、重症例では、呼吸困難などのために入院することも。

<登園判断>
保育所における感染症対策ガイドラインによれば「呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと」とありますが、かかりつけのお医者さんの診断に従うようにしてください。

インフルエンザ

<どんな病気?>
インフルエンザウイルスにる感染症。
学校保健安全法で第二種に指定されています。


<かかる年齢>
年齢問わずかかります。

<症状>
急に高熱が出て、3~4日続きます。
だるさ、食欲不振、関節痛、筋肉痛、喉の痛み、鼻汁、咳等の気道症状が表れます。
気管支炎、肺炎、中耳炎、熱性けいれん、急性脳症等の合併症が起こることが あるため、注意が必要です。

<感染経路>
飛沫感染、接触感染及び空気感染(飛沫核感染)

<予防法>
インフルエンザワクチン(※絶対に罹患しないわけではありません)。
保育園で流行の兆しが見えた場合、感染の疑いがある職員やこどもは速やかに隔離し、マスク着用と手洗いを徹底のうえ、ドアノブなどの環境表面を消毒用エタノール等で消毒することが望ましいでしょう。

<治療法>
抗インフルエンザ薬があります。

<登園判断>
発症した後5日経過し、かつ解熱した後3日経過していること(乳幼児の場合)」とされていますが、感染拡大防止の為にも自分で判断せず、かかりつけのお医者さんの指示に従うようにしましょう。

マイコプラズマ肺炎

<どんな病気?>
マイコプラズマ細菌の感染によるおこる病気です。
重傷化すると「肺炎」になります。

<かかる年齢>
幼児期、学童期、青年期が中心とされています。

<症状>
咳、発熱、頭痛など、かぜとよく似た症状です。
熱が夕方から上がり朝方に下がるのが特徴で、咳もだんだん強くなってきます。
日中は比較的元気なため、見過ごされてしまうこともあります。

<感染経路>
飛沫感染及び接触感染です。食べ物を介して経口感染することもあります。

<予防法>
ワクチンはありません。

<治療法>
奥の場合に抗菌薬、あるいは自然経過による治療です。

<登園判断>
「発熱や激しい咳が治まっていること」

溶連菌

<どんな病気?>
A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)によって起こる感染症で、急性の咽頭炎です。

<かかる年齢>
学童期の小児に最も多く、3歳以下や成人も感染しますが、典型的な症状が現れることは少ないといわれています。

<症状>
38度以上の発熱と全身倦怠感、のどの痛みによって発症します。
全身に発疹が出たり、舌にイチゴのようなブツブツが現れるのも特徴です。

<感染経路>
飛沫感染及び接触感染です。食べ物を介して経口感染することもあります。

<予防法>
ワクチンはありません。
手洗い・うがいの励行を心がけましょう。
抵抗性が弱い細菌なので、市販の消毒液の使用も有効です。

<治療法>
抗菌薬によって治療します。
尚、処方された薬の服用を途中でやめてしまうと、再発したり、場合におっては急性腎炎・リウマチ熱・血管性紫斑病・中耳炎・気管支炎などの合併症を起こすこともあるそうですので、処方された期間は薬を服用するようにしましょう。

<登園判断>
「抗菌薬の内服 後 24~48 時間が経過していること」となっていますので、少なくとも、受診した日とその翌日はお休みしましょう。

ノロウイルス

<どんな病気?>
急性胃腸炎を引き起こす、ウイルス性の感染症です。
アルコールや熱に対する抵抗力があり、感染力が非常に強いと言われています。

<かかる年齢>
乳幼児から高齢者まで

<症状>
主な症状は吐き気、嘔吐、下痢ですが、その他にも腹痛 頭痛 発熱 悪寒 筋痛 咽頭痛 倦怠感を引き起こすこともあります。

<感染経路>
経口感染、飛沫感染及び接触感染です。
汚物処理が不十分な場合、乾燥・飛散して空気感染(飛沫核感染)します。

<予防法>
現在使用可能なワクチンはありません。
流行期には、前日に嘔吐していた子どもの登園は控えてもらうように保護者に伝えましょう。
また、トイレなどの次亜塩素酸ナトリウム(0.02%)による消毒も有効です。

<治療法>
治療法はなく、下痢や腹痛、脱水に対して水分補給等を行います。

<登園判断>
「嘔吐、下痢等の症状が治ま り、普段の食事がとれること」となっておりますが、ウイルスは便から3週間以上排出されることがあるので、排便後やおむつ交換後の手洗いを徹底して下さい。

まとめ

乳幼児期の感染症は重症化するものもあるので、より一層の注意が必要です。
マスクや手洗いはもちろん、タオルの共用はできるだけ避けるなど生活面にも配慮しましょう。最近ではインフルエンザやノロウイルスにも効果のある抗菌スプレーも出始めていますので、利用してみるのも良いと思います。

参考URL:「保育所における感染症対策ガイドライン(2018改訂版)」(厚生労働省)

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