1歳からの積み木選び

おもちゃの王道、「積み木」。
無限の可能性を秘めるそのシンプルな佇まいに、己の想像力の限界を試されているような気になります。
素材は?重さは?大きさは?迷いだすとトコトン熱く嵌まってしまう、積み木選び。
できるだけシンプルにまとめてみました。

 

そもそも、なんで発達に良んだっけ?

まずは「積み木」で養われる力を整理しましょう。

身体の各部の協応

積み木を積む。
この単純な作業につまむ、はなす、微調整する、背伸びをするなど、大小さまざまな動きが含まれています。この動きができるように、たとえば目と指先、両手のバランスなど、身体の各部を同時に上手く調節しなければなりません。わかりやすくいうと「器用さ」ですね。

科学的感覚

「模様」を作るのは幾何学、「バランスや重み、転がる滑る」は物理科学、「積む高さや長さ」は数学と、我が子のガリレオっぷりに卒倒してしまいそうなくらい、色んな能力を使います。
トンネルや建造物などを作れば、空間認識力ももちろんアップ。将来、車の車庫入れがカッコ良くできるようになるかも!?

創造力

これは想像力と問題解決能力の合わせ技。これを作りたいけどどうすればよいのか。どうすれば壊さずに積み上げられるのか。まさに今話題の「非認知能力」そのもの。3歳頃には、ともだちと協力して遊ぶことで社会性も身につきます。

積み木の選び方

サイズ

積み木には「基尺」と呼ばれる、基本となる寸法があります。
各辺がこの「基尺」の倍数で構成されているものがほとんど。
たとえばフレーベルの積み木は基尺が 3.3cm 、3.3cm × 6.6cm × 1.65cm の立方体を基本としています。
これは積んだときの高さが合わせやすいというのが大きな理由ですが、数学的感覚と空間認識の基礎を身に付ける上でも有効だと言われています。いくつ重ねたら同じ高さ、いくつ並べたら同じ長さ、など、アタマではなく感覚で倍数をとらえることができるわけですね。
ちなみに、こどもが最初に覚える比率は1つ、半分、2倍、だそうです。

重さと素材

積み木に多く使われているのが「ブナ」と「ヒノキ」。市販されている積み木で多いのはブナですね。
どちらも耐久性が高く美しい木目を持っていますが、ヒノキの方が3割ほど軽いです。

賛否両論あります。

たとえば、ロシアの技師で知育玩具をいろいろ開発したニキーチンの積み木は、上下の面が2食ほかの4面は別々の色という変わった配色です。色パズル的な要素も持たせるのが狙いです。

 

また、虹の色()の各色を、それぞれ濃さに段階を持たせたものを用意すると色彩感覚の発達に良いとする意見もあります。

 

さらに、集中力や想像力を促進するために、白木のものが良いとする意見も多く見られます。

 

僕の個人的な意見としては、こどもの想像力が未発達な時期は、興味を示したり見立てるときイメージしやすいように色付き、3歳くらいで「これをつくろう」などある程度イメージができた上で遊ぶようになったら、白木でできたシンプルなものが逆に制約が少なくて良いと思います。

これは実際に保育園で遊ぶこどもたちを見ていて感じることでもあります。

年齢別のすすめ積木

わかりやすく表にしてみました。

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乳幼児期

本格的に積み木で遊び始めるのは1歳からですが、乳幼児期でも楽しんで遊びます。

ただし、この頃は積んで遊ぶと言うより、見たり触ったりした五感を楽しむ時期です。
赤・青・黄・緑・白・黒など、乳児の興味が湧くような色で見て触れて舐めて楽しめるものがオススメです。
布でできた積み木や中にが入っているもの、牛乳パックで手作りした簡単なものでも十分です。

1歳

手指の動きが発達し積み木を積めるようになるので、積んでは崩しを繰り返したりして遊びます。
また想像力も芽生えはじめ、積み木の1つをバスや車、家に見立てて並べたり滑らせたりします。とはいえイメージする力はまだ未熟なので、色があるとそれが想像のきっかけとなって楽しく遊べます

2歳

自我が目覚めるので、同じ色ばかり集めたり同じ形のものを並べたりと、こだわりが強くなってきます。また、適当に積んでできたものを「お城」や「ケーキ」に見立てて遊ぶ子も出てきますので、色や形が個性的な変形積み木もこの時期のこどもたちに人気があります。

3歳

想像力がたくましくなり目的や目標をもってつくりますので、逆に白木の普通の積み木で遊ぶ子が多いですね。なので、自由度の高いシンプルな積み木が良いのですが、大きいものを作りたがるため、数が大量に必要なのが悩みどころです。買い足しやすい4cm基尺をすすめる理由もココにあります。
加えて動物や車、木や人などの形をしたブロックや人形があると、作ったものからさらにイメージを発展させて遊ぶことができます。

安全面も考慮して

シンプルな玩具ですが、それでもケガや事故に繋がらないわけではありません。
しっかり面取り(角を落とすこと)やサンディング(ささくれや欠けをととのえること)がされていて、指触りの良いものを選んで下さい。
また、あまり小さすぎるのも飲み込んでしまいますので注意が必要です。

実は3歳を過ぎるとあまり遊ばない

実は4歳児クラスくらいになると積み木から、より複雑なものを作れるブロックに移行してしまい、積み木で遊ぶ機会は極端に減ります。ひとり遊びならなおさらです。
なので、保育園に通っているのであれば、正直積み木はいらないかな、とも思います。

 

たかが積木、されど積み木

積み木は、呼び方は違えど様々な教育法で取り入れられている玩具です。
とはいえ、拘りすぎても、意外とこどもには伝わらないのが玩具選びの難しいところ。なのであまり深く考えず、こどもの積み木を選ぶときに上記のことをちょっとだけ気にかけてあげればそれで良いと思います。

 

参考資料:「新版 保育とおもちゃ」瀧薫 著 エイデル研究所
     「よい「おもちゃ」とはどんなもの?」 永田桂子 著 チャイルド本社