ライナスの毛布

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こどもが不安や恐れ、寂しさなどを感じた際に、タオルやぬいぐるみなど特定のモノに愛着をしめすことがあります。このモノのことを発達心理学では「移行対象」と呼んだりします。はやい子だと1歳ごろから現れます。

 

取り上げた方が良いの?

すぐに取り上げたりはしない方が良いでしょう。
移行対象はこどもが自分で感情を立て直そうとしている、いわば自律的な行動で、発達面でもポジティブなものなんです。むやみに取り上げたりすれば情緒が不安定になったり、不安が増してしまい良い結果には繋がりません。

悪い癖ではありません

欧米圏では60~90%のこどもが経験する現象とされています。「移行対象」という言葉の生みの親で小児科医のウィニコット自身も、移行対象について「こどもの健常な情緒的および認知的な発達に不可欠な役割を果たす」と考えていましたので、過剰に心配する必要はないと思います。通常は小学校に上がる前に消滅すると言われています。

日本人には少ない?

日本では30%程度と出現率は低いため、母親の育児に問題があるとされた時代もありました。しかし、ごく普通の環境下でもストレスの量やこどもの耐性によってはこのような行動が出てしまうこともあるようですので、これを一概に子育て方法に問題があるとするのは早計です。

ちょっと注意して観察してみる

とはいえ、なんらかのストレスを感じているのは確かです。発達過程での一般的なストレスであれば問題なさそうですが、もし何か心当たりがあるようなら、少しずつ環境や方法をかえてみると、こどもも安心して過ごせるのではないかと思います。通常は小学校に上がる前に消滅するのでちょっと注意して観察してみるのが良いかもですね。

今回の参考文献:

遠藤利彦ら 「乳幼児のこころ―子育ち・子育ての発達心理学」有斐閣アルマ
子安増生・二宮克美編「キーワードコレクション 発達心理学」新曜社